医師の当直とは?宿日直許可と労働時間の扱いを転職前に確認

先に、答え。
医師の当直は、労働基準監督署長の宿日直許可を受けた勤務かどうかで、労働時間の扱いが変わります。
許可があっても通常と同じ診療をした時間は時間外労働になるため、転職前に許可の範囲と夜間の業務を確認しましょう。
当直の許可と夜間の業務を分けて、相談先に確認する
この記事の目次
医師の当直とは?宿日直許可がある場合とない場合の違い
労働基準法施行規則第23条は、宿直または日直の勤務で断続的な業務について、使用者が所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合、その勤務に従事させることができると定めています。この許可が、いわゆる「宿日直許可」です。求人票の「当直あり」という表記だけでは、この許可のある当直なのか、通常の夜間勤務に近い当直なのかは分かりません。
| 当直の区分 | 何で決まるか | 転職前に確認すること |
|---|---|---|
| 宿日直許可のある当直 | 労働基準監督署長の許可(施行規則第23条) | 許可の有無、許可の対象(診療科・時間帯・業務) |
| 許可のない当直 | 許可を受けていない夜間・休日の勤務 | 労働時間としての扱い、時間外手当の計算方法 |
| 院外での待機(オンコール) | 当直とは別の当番として運用される場合がある | 呼び出しの条件、出勤した場合の扱い |
厚生労働省の通知(医師、看護師等の宿日直許可基準、2019年7月1日)は、宿日直の許可の対象を「特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務」に限るとしています。例として、少数の要注意患者への問診等による診察や看護師等への指示・確認、休日・夜間の少数の軽症外来患者への対応が挙げられています。宿直の場合は、夜間に十分な睡眠がとれることも条件です。
医師の当直中に通常の診療をした時間はどう扱われる?
同じ通知の記2は、宿日直中に突発的な応急患者の診療や入院、患者の死亡、出産への対応など、通常の勤務時間と同じ態様の業務が「稀に」あった場合を扱っています。常態としてほとんど労働することがない勤務であれば許可を取り消す必要はない一方、その時間については時間外労働の手続をとり、割増賃金を支払うこととされています。
| 当直中の場面 | 通知の考え方 | 勤務先へ聞くこと |
|---|---|---|
| 軽度・短時間の対応 | 許可の対象となる業務の例に含まれる | 一晩に想定される対応件数、呼ばれる頻度 |
| 通常と同じ態様の診療が稀にある | その時間は時間外労働の手続と割増賃金の対象 | その時間の記録方法、申告の手順、支払いの方法 |
| 通常と同じ態様の業務が常態化 | 許可を与えることができないとされている | 担当患者数、夜間・休日の急患の受け入れ状況 |
通知は、通常業務と同じ態様の業務が常態化しているかどうかを、宿日直中の担当患者数や夜間・休日に来院する急病患者の発生率との関係で判断するとしています。求人を見る側では個々の病院がどちらに当たるかを判定できないため、実際の業務量を勤務先に尋ねて記録しておきます。
医師の当直の許可が診療科や時間帯で限られる場合
通知の記3は、一つの病院の中で、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類などを限って許可を与えることができるとしています。例として、医師について深夜の時間帯のみとする許可や、外来対応は該当しないが病棟の宿日直業務は該当する場合に病棟業務のみを許可の対象とすることが示されています。
| 限定の例(通知の記3) | 起こりうる違い | 確認の質問 |
|---|---|---|
| 診療科を限る | 同じ病院でも、診療科によって許可の有無が異なる | 自分が入る当直は許可の対象の診療科か |
| 時間帯を限る | 当直の一部の時間帯だけが許可の対象になる | 許可の対象は何時から何時までか |
| 業務の種類を限る | 病棟の当直は対象、救急外来の対応は対象外となる場合がある | 当直中に救急外来を担当するか、その時間の扱いは |
「病院として宿日直許可を取っている」という説明だけでは、自分が担当する当直が許可の範囲に入るかは分かりません。担当する診療科・時間帯・業務を具体的に挙げて、労務担当へ確認します。
医師の当直と時間外労働の上限を転職先でどう確認する?
2024年4月から、医業に従事する医師にも時間外・休日労働の上限が適用されています。厚生労働省のページでは、医師個人の上限(副業・兼業先の労働時間も通算)を、A水準で年960時間、B・連携B・C水準で年1,860時間(いずれも休日労働を含む)としています。月100時間未満の上限については、例外的に適用されない場合があると説明されています。
当直のうち労働時間として扱われる部分は、この時間外・休日労働の計算にかかわります。非常勤の当直を掛け持ちする場合も、副業・兼業先の労働時間を通算する点を確認します。
| 確認する項目 | 聞く理由 | 回答を残す形 |
|---|---|---|
| 勤務先の水準 | 上限の時間が水準によって異なる | A・B・連携B・Cのどれか |
| 当直の時間の扱い | 許可の有無で労働時間の計算が変わる | 許可の有無と、労働時間として数える範囲 |
| 兼業先の当直 | 個人の上限は兼業先の時間も通算する | 兼業の申告方法と、時間の把握の仕方 |
求人票や面接の口頭説明だけでは、当直の時間がどう数えられているかは確定しません。雇用契約の前に、書面の労働条件と照らし合わせます。
医師の当直について転職前に聞く質問リスト
募集時には、業務内容や就業場所の変更の範囲なども明示事項とされています(2024年4月からの募集時の明示事項の改正)。当直についても、次の質問を応募先にそのまま使えます。
- 当直は月に何回の想定か。平日と休日で違いはあるか。
- 自分が担当する当直に宿日直許可はあるか。許可の対象の診療科・時間帯・業務はどこまでか。
- 当直中に通常と同じ診療をした場合、その時間はどう記録し、どう支払われるか。
- 当直明けの勤務はどうなるか。翌日の外来や手術の予定はあるか。
- 当直手当は給与の提示額に含まれているか。当直の回数が変わった場合の額はどうなるか。
回答があいまいなまま「当直は寝られる」「ほとんど呼ばれない」といった説明だけで判断しないようにします。夜間の業務量は時期や体制で変わるため、確認した日付と相手を記録しておくと、内定後に書面と照らし合わせやすくなります。
当直の負担を減らしたい場合は、医師の当直なしで確認することも参考にしてください。
医師の当直についてよくある質問
宿日直許可のある当直なら、夜間の時間はすべて労働時間に入らないのですか?
厚生労働省の通知は、許可のある宿日直中に通常の勤務と同じ態様の業務をした時間について、時間外労働の手続と割増賃金の支払いが必要としています。夜間の時間を一律に外すという扱いではありません。自分の勤務がどう扱われるかは、勤務先の労務担当へ確認します。
当直の許可があるかどうかは、どこで分かりますか?
求人票には書かれていないことが多いため、応募先に直接尋ねます。病院全体ではなく、自分が担当する診療科・時間帯・業務が許可の対象かを確認します。
当直の回数や時間の上限はありますか?
医師個人の時間外・休日労働には、水準ごとに年間の上限があります。当直のうち労働時間として扱われる部分がこの計算に入るため、勤務先の水準と、当直の時間の数え方を確認してください。
出典の確認日:2026年10月31日。確認の質問と表は編集部が作成しました。
- 厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(基発0701第8号、2019年7月1日):記1(許可の対象となる業務)、記2(通常と同態様の業務の扱い)、記3(診療科・時間帯等を限った許可)。
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」:第23条(宿直・日直の許可)。
- 厚生労働省「医師等の時間外労働の上限規制」:水準ごとの年間上限、副業・兼業先の時間の通算。
- 厚生労働省「募集時等に明示すべき事項の追加」:2024年4月からの明示事項。
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