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医師の開業は何から進める?診療所の開設届と保険医療機関の指定

「医師の開業」「開設の届出・保険医療機関の指定・管理者要件」の文字と、診療所の建物を表す図。

先に、答え。

医師の開業では、医療法の開設届(病床があれば許可)、保険医療機関の指定、税務署の開業届を別々の窓口で進めます。

2026年4月から保険医療機関の管理者に経験の要件が加わったため、要件を満たす時期を先に確かめましょう。

管理者の要件と開業の時期を、確認先に分けて確かめる

この記事の目次
  1. 医師の開業とは?勤務医と比べて変わる立場
  2. 医師が診療所を開業するときの届出と許可
  3. 医師の開業で保険診療を始めるには保険医療機関の指定
  4. 医師の開業で確認する管理者の要件(2026年4月から)
  5. 医師の開業で税務署に出す開業届と勤務先の手続
  6. 医師の開業までの順番と確認先の一覧
  7. 医師の開業についてよくある質問

医師の開業とは?勤務医と比べて変わる立場

この記事でいう医師の開業は、医師が自ら開設者となって診療所を開くことを指します。勤務医は雇用契約に基づいて病院や診療所で働きますが、開業すると開設者として届出を行い、多くの場合は管理者として診療所の管理も担います。

医療法第12条は、開設者が管理者になれる者である場合、原則として自ら管理しなければならないと定めています。都道府県知事の許可を受けた場合は、ほかの者に管理させることができます。

項目勤務医として働く場合診療所を開業する場合
立場雇用契約に基づく従業者開設者(多くは管理者を兼ねる)
医療法の手続勤務先が行う開設後の届出、病床があれば開設前の許可を自分で行う
保険診療の手続勤務先が保険医療機関の指定を受けている開設者として保険医療機関の指定を申請する
税の手続給与所得として勤務先が源泉徴収する事業を始めた人として税務署に開業届を出す

開業するか、勤務を続けるかを比べるときは、診療の内容だけでなく、こうした手続と責任の違いも並べて考えます。勤務先の管理者として働く選択肢は管理医師への転職で確認することで整理しています。

医師が診療所を開業するときの届出と許可

医療法では、診療所を開設する人が臨床研修を修了して登録を受けた医師(医療法では「臨床研修等修了医師」)かどうか、病床を設けるかどうかで、手続が変わります。

場面医療法の定め手続の時期
臨床研修等修了医師が診療所を開設した開設後10日以内に、所在地の都道府県知事に届け出る(第8条)開設した後
臨床研修等修了医師でない者が診療所を開設する開設地の都道府県知事の許可を受ける(第7条第1項)開設する前
診療所に病床を設ける所在地の都道府県知事の許可を受ける(第7条第3項)病床を設ける前
入院のための施設を持つ診療所を使い始める構造設備について知事の検査を受け、許可証の交付を受けた後に使用する(第27条)使用を始める前

診療所の所在地が保健所を設置する市や特別区の区域にある場合、届出や許可の窓口は知事ではなく、その市長や区長になります(第7条・第8条)。実際の受付窓口と必要な書類は、開設地の保健所に確認します。

診療所を廃止したときも、10日以内に届け出ることとされています(第9条)。医業を行う診療所は、臨床研修等修了医師に管理させなければなりません(第10条)。また、診療所を管理する医師は、知事の許可を受けた場合を除き、ほかの病院や診療所を管理しない者でなければなりません(第12条第2項)。

医師の開業で保険診療を始めるには保険医療機関の指定

医療法の開設届とは別に、健康保険の診療(保険診療)を行うには、診療所が保険医療機関の指定を受ける必要があります。健康保険法第65条は、この指定を病院・診療所の開設者の申請によって行うと定めています。厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長に委任することができるとされており(第205条)、申請の窓口は所在地を管轄する地方厚生(支)局です。

保険医療機関の指定は診療所についての手続で、医師本人の保険医登録とは別です。勤務先が変わるときの保険医登録の届出は医師の転職と保険医登録の確認点で整理しています。保険医療機関の指定の申請の受付日程や、指定を受ける日は、管轄の地方厚生(支)局の案内で確認します。

医師の開業で確認する管理者の要件(2026年4月から)

健康保険法第70条の2により、保険医療機関の管理者は、保険医であることに加えて、一定の診療経験などの要件を満たす者でなければなりません。厚生労働省の「保険医療機関の管理者の要件・責務について」のページでは、2026年4月1日からこの要件が必要になったと説明しています。開業して自分が管理者になる場合は、この要件を満たしているかを先に確かめます。

区分(厚生労働省のページ)基本的な要件
2026年4月1日時点で臨床研修を終えていない医師保険医であること。臨床研修修了後、病院で3年以上保険診療に従事した経験があること
2026年4月1日時点で臨床研修を終えている医師保険医であること。臨床研修期間を含め、病院または診療所で3年以上保険診療やその他の業務に従事した経験があること

同じページでは、ほかにも次の場合に管理者になれるとしています。地域枠などのキャリア形成プログラムの適用を受けている、または適用後3年以内の医師、日本専門医機構が認定する専門医の資格を持つ医師、医師としての専門知識を活かした公務員として5年以上の勤務経験がある医師などです。

経験の年数は、週4日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週31時間以上であることを基本に、1か月単位で数えるとされています。医局や法人の人事で複数の医療機関に勤務する場合や、育児・介護で労働時間が短い場合などには、配慮の扱いも示されています。

手続の場面厚生労働省のページでの説明開業前に確かめること
保険医療機関の新規指定従来どおり管理者の氏名等を届け出る。あわせて要件を満たすことを確認できる書類を添付する自分の勤務歴を示す書類を用意できるか
書面で申請する場合申請様式に、管理者の要件を満たしている旨の欄が追加されているどの区分の要件で申請するか
要件を満たしていない場合管理者となることはできない要件を満たす時期まで勤務を続けるか、ほかの医師を管理者にできるか

勤務歴の数え方は個別の事情で変わります。開業の時期を決める前に、管轄の地方厚生(支)局に自分の経歴で要件を満たすかを確認しておくと、開業日がずれる事態を避けやすくなります。

医師の開業で税務署に出す開業届と勤務先の手続

個人で診療所を開業すると、事業所得を生ずる事業を始めたことになります。国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」のページでは、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに、開業届を提出するよう案内しています。e-Taxのほか、書面を持参または送付して提出することもできます。

勤務先を退職して開業する場合は、勤務先の手続も並行して進みます。

医師の開業までの順番と確認先の一覧

医師の開業に関わる手続は、窓口ごとに時期が異なります。次の表は、ここまでの内容を確認先ごとに並べたものです。

順番の目安手続確認先
開業の時期を決める前保険医療機関の管理者の要件を満たすかの確認地方厚生(支)局
開設の前(病床がある場合など)医療法の開設の許可、構造設備の検査開設地の保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)
勤務先を辞める前退職日と引継ぎ、医師賠償責任保険の切替勤務先、保険の契約先
開設した後医療法の開設届(開設後10日以内)開設地の保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)
保険診療を始める前保険医療機関の指定の申請地方厚生(支)局
事業を始めた年開業届(確定申告期限まで)所轄の税務署

開業に向けて勤務を続けながら経験を積む場合や、開業前に別の医療機関へ移る場合は、転職の相談先に勤務形態や勤務日数の条件を伝えて探す方法もあります。

医師の開業についてよくある質問

医師が診療所を開業するとき、開設の前に許可が要りますか?

臨床研修等修了医師が病床のない診療所を開設する場合、医療法では開設後10日以内の届出とされています(第8条)。病床を設ける場合や、臨床研修等修了医師でない者が開設する場合は、事前に許可を受けます(第7条)。

開業して自分が院長になるには、何年の経験が必要ですか?

保険医療機関の管理者になるには、2026年4月から健康保険法第70条の2の要件を満たす必要があります。厚生労働省のページでは、2026年4月1日時点で臨床研修を終えている医師は、臨床研修期間を含めて3年以上の保険診療などの経験があることを基本の要件としています。個別の経歴での判断は地方厚生(支)局に確認してください。

開業届はいつまでに出せばよいですか?

国税庁のページでは、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出するよう案内しています。青色申告など、ほかの届出の期限は国税庁の各手続のページで確認してください。

出典の確認日:2026年11月6日。表と確認の順番は編集部が作成しました。

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更新日:2026-11-06 · 編集方針